大判例

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東京地方裁判所 昭和27年(ワ)8544号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実〕原告は所属組合員に対する資金の貸付・割引・預金・定期積金等の受入その他金融業務を営む信用協同組合であるが、訴外島田某は原告の外務員として預金・定期積金の集金勧誘等の業務に従事しているうち、集金十五万円余を着服横領し、原告組合に対し同額の損害を加えた。被告等は右訴外人の身元保証人として同訴外人の行為による損害を同人と連帯して賠償することを約したので保証人としての義務の履行を求めると主張した。被告等は身元保証に関する法律第五条により、原告は被用者たる訴外島田の監督につき重大な過失があつたから賠償額の算定に当つては当然に斟酌せられるべきであると抗争した。他の争点省略。

〔判断〕判決は被告の抗弁を採用し原告の請求金額のうち約半額を棄却した。原告組合の過失についてつぎのように説明している。曰く、

「……の証言によれば、本件横領の事実が発覚したのは加入組合員が原告に貸付の申込をした際この組合員のいう訴外島田に対する払込分が組合には入金となつていなかつたことから調査がなされ、その結果始めて判明したことが認められる。そこで、右証言によつて原告組合においては外務員の集金その納入についていかなる仕組になつていたかを窺うに、外務員が出勤するとその日の集金予定日になつている集金カードを組合から受取り、これを持つて予金者宅に赴き、金を受領した時は先方に渡してある予金通帳に受領印を押し、集金カードにその旨を記入し、このカードを組合に持帰り、別にその日の集金全部についての予金者氏名・口座番号・集金金額を一括記入した集金明細書を作成し、右集金カード、集金明細書を受領金と共に組合の会計課に差出すという方法をとつていたことが判る。かような予金者へ残す受領の証と外務員の手許に残り組合に出されるこれに該当するもの(集金カードの記載)との間が遮断せられ、集金カードの記載(不記載までを含めて)が外務員の自由に放置されている方法、要するに外務員の集金の事実がそのまま組合に反映する結付を欠く仕組の下では、外務員が黙つていれば集金して来ても監督者の方には分らず、又島田が各得意先からいくら受領しているかは組合では判らぬということになるのは当然であつて、外務員が集金した金を横領するのを未然に防ぐことは困難で、外務員の質に依存する外はないということにもなるであろう。もとより完全に未然に防止しうる方法はないかも知れぬ。然したとえば、複写式受領証用紙の使用、通帳と複写受領証との契印、使用受領書用紙の日毎の点検、その他簡易有効な方法は考えられないでもないのであつて、原告組合の採つている右の方法は多数の予金者を相手として金融業を営むものとして余りに工夫を欠くという外なく、原告組合にはかような制度上の欠陥があるのであり、金銭を扱う外務員をかかる常識ともいうべき締めくくりを欠く制度の下に就業させたことは結局それ自体被用者の監督上重大な過失があつたものといわねばならない。以下略」

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